この度、see you galleryでは、宇平剛史による個展「イメージの物質性(英題:Images as Matter)」を開催します。本展では、初披露となる新作《White Rose》と、継続的に発表を続けている連作《Skin》が、空間内で静かに共鳴します。
新作《White Rose》では、印画紙をベースに写真印刷と油彩を施すことで、イメージが単なる平面ではなく、複層的に時間と物質が絡み合う場として立ち現れます。印刷と油彩の繊細な交わりによって、事物と空間が相互に浸透し合うような、独自の質感が生まれています。
本作のモチーフである白い薔薇は、第2次世界大戦中の抵抗運動「白薔薇」に由来します。宇平は、彼らが命懸けで反戦の印刷物(ビラ)を制作し、各地に配布した事実に深い衝撃を受け、白い薔薇のモチーフを自身の制作で扱う方法を模索し続けてきました。本作は、白薔薇という記憶が、継承と忘却のはざまで揺らぐ様を、密やかに映し出します。
連作《Skin》では、人の皮膚がもつ無数の肌理(きめ)が、高精細のグレースケール写真によって表現され、実際の皮膚かと錯覚するほどの生々しい物質感を伴って提示されます。
宇平の制作において、紙やインクは単なる支持体や素材ではなく、作品を成す重要な肉体として存在しています。インクが紙の繊維に浸透する滲み、絵具が表面に積層する動きなど、彼にとってイメージという場は、物質としての豊穣さに満ちているのです。それは、デジタル環境の優勢や視覚偏重な状況のなかで、本来の身体性について再考しようとする彼の姿勢の反映でもあります。
会場では、過去に宇平が制作した作品集やエフェメラ(印刷物)の一部も併せて展示・販売を行ないます。イメージを単なる視覚的情報ではなく、触知可能な肉体的存在として探求する空間を、是非この機会にご高覧ください。




宇平 剛史(うひら ごうし)
現代美術家・デザイナー。東京を拠点に活動。1988年福岡県福岡市生まれ。東京都立大学システムデザイン学部インダストリアルアート学科修了。人の皮膚がもつ無数の肌理を高精細のグレースケール写真で提示する連作《Skin》をはじめ、モノクロームを基調とする精緻かつ静謐な作品を国内外で発表している。2023年にN&A Art SITEで個展「事物の生」、2021年に横浜市民ギャラリーで個展「Unknown Skin」を開催。2020年に3331 Art Fair(3331 Arts Chiyoda)に参加し、小池一子賞を受賞。装幀を手がけた主な書籍に、星野太『美学のプラクティス』(水声社、2021年)、沢山遼『絵画の力学』(書肆侃侃房、2020年)、荒川徹『ドナルド・ジャッド』(水声社、2019年)、横田大輔『Vertigo』(Newfave、2014年)など。2022年には自身のアートワークとデザインワークを収めた初の作品集『Cosmos of Silence』(ORDINARY BOOKS)を出版。
Website https://www.goshiuhira.com
Instagram @goshiuhira
Information
会期
2025年4月30日(水) – 5月18日(日)
会場
see you gallery
住所
〒150-0012 東京都渋谷区広尾 1-15-7 2F
営業時間
13:00–20:00 (会期中無休、入場無料)
オープニング・レセプション
2025年4月29日(火) 18:00–20:00
主催
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ディレクション
J.K.Wang
協力
POETIC SCAPE、松尾 翼(MA)
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